こんな商売をしていながら、割合に人摺れのしていないお吉は、半七に嚇されてもう息も出ないくらい顫え上がっていた。しかし彼の武士たちの身許はどうしても知らないと云った。なんでも麻布辺にお屋敷があるということだけは聞いているが、そのほかにはなんにも知らないと強情を張っていた。それでも半七に嚇したり賺したりされた挙句に、お吉はようようこれだけのことを吐いた。 「なんでもあの人達は仇討に出ているんだそうでございます」 「かたき討……」と半七は笑い出した。「冗談じゃあねえ。芝居じゃああるめえし、今どきふたり揃って江戸のまん中で仇討もねえもんだ。だが、まあいいや、かたき討なら仇討として置いて、あの二人の居どこはまったく知らねえんだね」 「まったく知りません」 この上に責めても素直に口を開きそうもないので、半七もしばらく考えていると、熊蔵が階子のあがり口から首を出してあわただしく呼んだ。 「親分。ちょいと顔を貸しておくんなせえ」 「なんだ。そうぞうしい」歯科 ホームページ作成 Ferocious thief
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