「いえ。出がけに庄五郎の家《うち》へ声をかけましたら、もう出て行ったということでございました」 「嘘をつけ」と、妻吉は行灯のまえで睨みつけた。「貴様は先に行っていて、それから引っ返して家へ行ったのだろう。真っ直ぐに云え」 「いえ、出がけに寄ったのでございます」  妻吉は舌打ちした。 「やい、やい。つまらねえ手数をかけるな。なんでも話は早いがいい。貴様は庄五郎の女房のお国という女に惚れているのだろう」  平七は勿論、藤次郎も一緒にうつむいてしまった。ふたりの腋《わき》の下に冷たい汗が流れているらしかった。 「おれはまだ知っている」と、妻吉は畳みかけて云った。「貴様はこの正月ごろ、町内の湯屋の番頭とお国の噂をして、あの女に亭主が無ければなあと云ったそうだが、ほんとうか」  身におぼえがあると見えて、平七はやはり俯向いたままで黙っていると、妻吉は勝ち誇ったように笑った。 「もう、いい。あとは親分や旦那が来て調べる」  平七は六畳の板の間へ投げ込まれて、まん中の太い柱にくくり付けられた。藤次郎は御用があったらば又よびだすというので、一旦無事に帰された。 歯科 コンサルタント Disclaimer



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